徹底レビュー!NVIDIA(エヌビディア)の将来性を紐解く
この記事でわかること
- エヌビディアのビジネスモデルは?
- エヌビディアの強みは?
- エヌビディアの将来性は?
「NVIDIA(エヌビディア)」ってどんな会社?
NVIDIA(エヌビディア)という会社、みなさまはご存知でしょうか?
お恥ずかしながら、私はここ3ヶ月で初めて知りました。
エヌビディアは、アメリカの半導体メーカーです。
半導体というのは、こういうやつですね。
この半導体は至るところで使われています。
- テレビのリモコン
- ゲーム
- 銀行のATM
- 自動運転の自動車
我々が日常的に目にしている機器のほとんどには、この半導体が使用されています。
エヌビディアは、創業した当初は、ゲームに使用される半導体をメインに製造していました。
その後は、自動運転のAIに使用されている半導体にも参入しています。
2012年には、あのテスラの自動車にも、エヌビディアの半導体が搭載されました。
今では、自動運転のテクノロジーを支える注目企業です。
今回は、そのエヌビディアの業績の秘密に迫ってみます。
収益構造はどうなっているか?
では、エヌビディアの収益構造を見ていきます。
以下のグラフは、ここ3年間のエヌビディアの収益の推移を示したものです。
ほとんどの収益は「Gaming=ゲーム用の半導体」によって構成されていますね。
まだまだ、創業時からの収益の柱であるゲーム用半導体によって、エヌビディアは支えられているようです。
一方で、「Data Center=データセンター用の半導体」の収益が2021年に入って大幅に上昇しています。
世界中に出回るデータ量が指数関数的に増えていく中、大量データをスムーズに処理するためのデータセンターが必要不可欠な存在です。
データ量が増えれば増えるほど、即時処理するのが難しくなります。
その要を担っているのが、エヌビディアのデータセンターなのでしょう。
コスト構造はどうなっているか?
続いて、エヌビディアのコスト構造や収益性を見ていきます。
大まかには、規模拡大とともに、利益率が上がっている傾向が見て取れます。
事業経済性を働かせることができている、と解釈してよいでしょう。
では、どうやって事業経済性を実現しているのか?
事業経済性が働く条件、働かない条件
「規模の経済性」という言葉があります。
これは「規模を拡大すればするほど、固定費が薄まって、収益性が高まる現象」を意味しています。
では、ただ規模を拡大すれば収益性が高まるのかというと、そうではありません。
例えば、製品を100個生産しなければならないとしましょう。
次のうち、どちらの方が手間がかからないでしょうか?
- Aという製品を100個生産する
- Aを10個、Bを20個、Cを25個、Dを15個、Eを30個生産する
同じ100個でも、1が楽で、2が大変なはずですよね。
そうなんです。
経済性が働く条件は、「作る製品を標準化させること」なんです。
では、どうすれば作る製品を標準化できるのか。
それは「自社にしか作れないものを提供すること」です。
「他社には作れないけど、自社には作れるもの」を売ることができると、作り手が有利に交渉を進めることができますよね。
「ウチはAという製品しか提供できません。ただ、このAという製品は、ウチ以外はどこも作ることができないんです」と言われたら、買い手側は何も言えないですよね。
おそらく、エヌビディアは、そういった「他社には作れないような半導体」を作っているからこそ、事業経済性を働かせることができているんだと思います。
エヌビディアは長期的に成長していくのか?
ここまでエヌビディアの概要や財務データを概観してきました。
- では、そんなエヌビディアは今後も長期的に成長し続けられるのでしょうか?
- 今後も長期的に成長し続けるか否か、どうやって判断すればよいのでしょうか?
実は、これらの問いに答えてくれる良書がございます。
それが『教養としての投資』です。
この本では、次に3点の問いが設定されています。
- 「本当に世の中にとって必要か?」という問いに答えられるか?
- 今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的な競争優位を持っているか?
- 不可逆的なトレンドに支えられているか?
以下、順番に考察していきます。
「本当に世の中にとって必要か?」という問いに答えられるか?
この問いに答えるためには、まず「エヌビディアが明日から存在しなくなった世界」を想像してみましょう。
- 自動運転のAI半導体
- 大量データを処理するデータセンター
いずれも、今後のテクノロジー時代においては不可欠な技術のように思えます。
しかし、エヌビディア以外にもこういった企業が出てきたり、AI半導体を上回る何らかの技術革新が起こったりすれば、エヌビディアの存在意義が薄れてしまうのかもしれません。
今後の技術トレンドを注視する必要がありますね。
今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的な競争優位を持っているか?
続いて、エヌビディアの競争優位性を見てみましょう。
こちらの記事によると、エヌビディアはGPU市場において80%のシェアを獲得したようです。
GPUというのは、graphics processing unitの略です。
GPUは3Dグラフィックの処理技術として注目を浴びています。
GPUの詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
先ほど述べたように、エヌビディアは事業経済性を働かせることに成功しています。
ということは、買い手に対しても強気に出れるほどの技術と生産力を有している、と解釈できます。
シェアの高さにも鑑みると、GPUをはじめとする半導体技術において、エヌビディアは競争優位性を持っていると考えてよいのではないでしょうか。
ただし、Intelなどの競合他社の存在もあるので、まだまだ予断は許されないと思います。
引き続き、競合他社や技術トレンドを見ておく必要がありますね。
不可逆的なトレンドに支えられているか?
最後に、エヌビディアの事業が長期トレンドに支えられているかを見ていきます。
結論からいうと、長期トレンドには下支えされていると考えます。
- 人口増とともに、デジタルデバイスを持ったユーザーが増えていく
- 移動手段が、自動運転に置き換わっていく
…これらは、比較的確度が高く、長期的に続くであろうトレンドではないでしょうか。
①人口増とともに、デジタルデバイスを持ったユーザーが増えていく
世界全体の人口は今後も伸びることが確実視されています。
それに、世界全体で見て、デジタルデバイスの普及率も、順調に100%に近づきつつあります。
これらに鑑みると、
- 人口増とともに、デジタルデバイスを持ったユーザーが増える
- 世界中で処理されるデータ量が増えていく
- 超大量データを処理する技術は今後も必要となる
…と考えることができます。このトレンドによって、エヌビディアは恩恵を受けるのではないでしょうか。
②移動手段が、自動運転に置き換わっていく
続いて、②については、①ほど確実な予測ではないと思います。
「自分で運転しようと思う人が減る」のは、何となくイメージができます。
しかし、そもそも「移動する」という行為が減っていくとしたら、自動運転でも手動運転でも関係なく、「運転」そのものの需要が減るはずです。
このシナリオも踏まえると、②は確実なトレンドと言い切るのは難しいと思います。
以上を踏まえて、不確実性はあるものの、エヌビディアは長期トレンドを概ねおさえることができるのではないかと考えています。
この予想が当たっているのかどうか、10年後のエヌビディアの業績を見て、答え合わせできればと思います。