徹底レビュー!Netflix(ネットフリックス)の将来性を紐解く
この記事でわかること
- ネットフリックスのビジネスモデルは?
- ネットフリックスの強みは?
- ネットフリックスの将来性は?
「Netflix(ネットフリックス)」ってどんな会社?
今回は皆さんご存知のネットフリックスについて。
ネットフリックスは、アメリカにある「定額動画配信サービス」を提供している会社です。
ただ元々は、オンライン上でDVDをレンタルする事業を行っていました。
DVDレンタル事業…今となっては想像しにくいですよね。
「DVDレンタルと、動画配信…全然違うじゃないか」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、根本にある「いつでもどこでも、気軽に好みの動画を楽しめる」という軸は一貫しています。
この一貫した軸こそが、ネットフリックスの一番の強みなのかもしれません。
収益構造はどうなっているか?
では、早速収益を見ていきましょう。
ビジネスモデルは非常にシンプルで、以下の2点です。
- コンテンツの調達を自前もしくは外注で行っている
- ユーザーからはサブスクリプションフィーとデータを獲得。代わりに、好みに合ったコンテンツを提供している
他の動画サービスと異なり、広告収入もございません。
なので、収益構造もシンプルに「ユーザーからのサブスクリプションフィー」を見ていけばOKです。
では、収益の伸びはどうなっているのか?
以下のグラフを見てみると、一目瞭然ですね。
年平均成長率26%で収益が伸びています。すごい勢いですよね。
収益については、申し分ないといえるでしょう。
この収益の伸びを支えているのが、「解約率の低さ」です。
以下の図は、ネットフリックスの解約率の推移です。
上昇傾向に見えますが、4-5%のところで推移しています。
こちらの記事によると、サブスクリプション型サービスの解約率は平均で20%をこえているそうです。
もちろん、動画配信サービスに絞ると、もう少し解約率の平均は下がるのかもしれません。
とはいえ、解約率5%以下、というのは、評価すべき水準なのではないでしょうか。
コスト構造はどうなっているか?
続いて、コスト構造や収益性を見ていきます。
下の図は、縦軸に営業利益率、横軸に売上を取ったものです。
2005年から2016年までは利益率に波があります。
しかし、2016年以降は、売上の規模拡大と共に利益率も上げることに成功しています。
では、上記の営業利益はどういう構造で成り立っているのかを見てみます。
下の図は、2020年の営業利益の構造です。
IT業には珍しく、売上原価が売上の約6割を占めています。
これは、おそらく「オリジナルコンテンツの制作費」や「ライセンスフィー」だと思います。
その理由は、営業キャッシュフローの内訳を見ればわかります。
「解約した人も戻ってきたくなるレベルのオリジナルコンテンツ」が競争の鍵
以下の図は、ネットフリックスの2020年の営業キャッシュフローです。
赤枠で囲っている部分が「Additions to content assets」です。
コンテンツの追加にあたって出ていったお金ですね。
圧倒的業績をあげている企業は、得てして「腰が引けるくらいの、思い切った投資」をしているものです。
ネットフリックスは、まさに「コンテンツ」に対して、巨額の投資を行っています。
考えてみれば、私の周りにも、次の理由でネットフリックスを再契約した人がいます。
- 「NARUTO」を久しぶりに見たい…あ、Amazon Primeにはないけど、ネットフリックスにあるから見よう
- 「全裸監督」がめちゃくちゃ面白いらしい…気になるから、またネットフリックス契約しちゃった。今回は1ヶ月だけ!(といいつつ、今も契約している)
- 「愛の不時着」を見たいから、ネットフリックスに登録した
「ネットフリックスじゃないと見れないコンテンツがある」という状態をいかに築けるかが鍵ですね。
ネットフリックスは長期的に成長していくのか?
ここまでネットフリックスの概要や財務データを概観してきました。
- では、そんなネットフリックスは今後も長期的に成長し続けられるのでしょうか?
- 今後も長期的に成長し続けるか否か、どうやって判断すればよいのでしょうか?
実は、これらの問いに答えてくれる良書がございます。
それが『教養としての投資』です。
この本では、次に3点の問いが設定されています。
- 「本当に世の中にとって必要か?」という問いに答えられるか?
- 今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的な競争優位を持っているか?
- 不可逆的なトレンドに支えられているか?
以下、順番に考察していきます。
「本当に世の中にとって必要か?」という問いに答えられるか?
この問いに答えるためには、まず「ネットフリックスが明日から存在しなくなった世界」を想像してみましょう。
これは正直、明日からネットフリックスが無くなっても、困らない人はあまり多くないのではないでしょうか。
確かに、ネットフリックスでしか出会えないコンテンツはいくつかあります。
でも、ほとんどのコンテンツは、ぶっちゃけAmazon Primeでも見ることができます。
他にも、たくさんの動画配信サービスが存在しています。
動画配信サービスが無くなっても、テレビや映画があります。
一方で、ディズニーはどうでしょうか?
動画配信であれば、ディズニーの作品はディズニーのサービスでしか見ることができません。
「ディズニーのコンテンツが明日から無くなります」と言われれば、おそらく困る人がたくさんいるはずです。
長年かけて築き上げたディズニーのブランド資産は、今では世界に無くてはならない宝になっています。
コンテンツビジネスで未来永劫生き残るためには、それくらいの尖った価値が必要です。
今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的な競争優位を持っているか?
次に、競争優位性を見てみます。
こちらの記事によると、Netflixがシェア13.8%と1位です。(あくまで推計ですが)
まだ、「圧倒的に優位」とまではいえない状態だと思います。
それと、動画配信サービス業界は参入障壁を築くのが難しいです。
一定の割合の人が「面白い!」と認めるコンテンツを作れれば、誰だって参入できます。
今後の競争の鍵は、
- 一定の割合の人が「面白い!」と認めるコンテンツをたくさん、かつ独占的に所有する
- 少しずつ他社からシェアを奪い、ユーザー数ならびにデータ量でトップになる。そして、AIを使った「後出しじゃんけん」の精度を徹底的に上げる
…といったポイントが重要になるのではないでしょうか。
不可逆的なトレンドに支えられているか?
最後に、不可逆的なトレンドを見てみます。
結論、長期的なトレンドには支えられていると思います。
理由は、①世界の人口は今後も増加していくから、②デジタルデバイスを持つ人数も増えていくからです。
詳しくは、以下の記事にも書いてあります。よろしければご参照ください。
いかがでしたでしょうか。
GAFAではなくFANNGと呼ばれるように、世界のハイテク業界トップの一端を担う存在のネットワーク。
今後も目が離せませんね。