徹底レビュー!Teladoc Health(テラドック・ヘルス)の将来性を紐解く
この記事でわかること
- テラドック・ヘルスのビジネスモデルは?
- テラドック・ヘルスの強みは?
- テラドック・ヘルスの将来性は?
「テラドック・ヘルス」ってどんな会社?
テラドック・ヘルスは、アメリカでNo.1のシェアを誇るオンライン診療サービスです。
パソコンやスマートフォンのアプリを通じて、自宅にいながらビデオチャットで診療を受けることができます。
言うまでもなく、コロナ禍を通して急激に成長した企業の代表例です。
収益構造はどうなっているか?
収益源は大きく「契約企業からのサブスクリプションフィー」と「個人の1回あたり診療フィー」から成り立っています。
まず、実際の収益状況を見てみましょう。
以下の図表を見てもわかるとおり、「順調」以外の言葉が見つかりませんね。
- 収益は年平均成長率70%以上
- 会員数の年平均成長率40%以上
- EBITDAが2019年の3倍以上
- 営業活動によるキャッシュフローが2019年の2倍以上
上記のすさまじい成長は、多岐に渡るステークホルダーによって支えられています。
- フォーチューン500の40%以上の企業
- 70社以上のグローバル保険会社
- 50以上の健康保険
- 4000以上の病院
- 5150万人以上の会員
…まさに、アメリカの「オンライン医療プラットフォーム」です。
また、アメリカのオンライン診療市場では、クロスセルのチャンスも拡がってきています。
以下の図表のとおり、2019年は「オンライン診療のプロダクトを2つ以上採用しているメンバー」の割合が9%だったのに対し、2020年には43%に急上昇しています。
このことからも、テラドック・ヘルスにとっては、オンライン診療市場は追い風ムードだといえそうです。
コスト構造はどうなっているか?
では次に、テラドックヘルスのコスト構造を見てみましょう。
営業利益率と売上の関係を見ると、以下のことがわかります。
- 2019年までは、規模拡大とともに収益性も上げることができていた
- 2020年は、規模拡大に伴い収益性も悪化
これは一体何を意味しているのでしょうか?
大事なのは、「成長のための赤字」なのか「業績悪化による赤字」なのかを正しく見極めることです。
では、2020年の収益性が悪化した原因を、以下のグラフで見てみます。
何と売上の8割以上を「販管費」が占めています。
この販管費は、「コロナ禍に伴って会員数や提携企業・病院数を増やすために投じた費用」と捉えるのが妥当ではないでしょうか。
このようなプラットフォームビジネスは、導入期から成長期にかけては「赤字を惜しむことなく、他社が腰を抜かすような額を投じて、需要者と供給者を増やしにかかる」必要があります。
将来のキャッシュを生んでくれる顧客を増やすための投資。
それが、2020年の多額の販管費の正体ではないでしょうか。
テラドック・ヘルスは長期的に成長していくのか?
ここまでテラドック・ヘルスの概要や財務データを概観してきました。
- では、そんなテラドック・ヘルスは今後も長期的に成長し続けられるのでしょうか?
- 今後も長期的に成長し続けるか否か、どうやって判断すればよいのでしょうか?
実は、これらの問いに答えてくれる良書がございます。
それが『教養としての投資』です。
この本では、次に3点の問いが設定されています。
- 「本当に世の中にとって必要か?」という問いに答えられるか?
- 今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的な競争優位を持っているか?
- 不可逆的なトレンドに支えられているか?
以下、順番に考察していきます。
「本当に世の中にとって必要か?」という問いに答えられるか?
この問いに答えるためには、まず「テラドック・ヘルスが明日から存在しなくなった世界」を想像してみましょう。
おそらく、患者、保険会社、企業、病院の多くが困り果てるはずです。
コロナ禍が続く中では、言わずもがな、オンライン診療の選択肢が無い状態は致命的です。
また、コロナ禍がたとえ終わりを告げたとしても、オンライン診療の快適で効率的な診療体験は、患者と医者双方にとって欠かせない存在になっているはずです。
オンライン診療は、世の中に必要不可欠なサービスだと、私は考えます。
今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的な競争優位を持っているか?
次に、テラドック・ヘルスくが有する競争優位を見ていきます。
まずは、テラドック・ヘルスの市場シェアを確認しましょう。
少し古いですが、2017年の資料を見ると、テラドック・ヘルスの市場シェアは75%であることがわかります。(資料には明示されていないが、おそらくアメリカ国内におけるシェア)
また、先に述べた通り、売上の8割近い販管費を投じて、フォーチューン500の40%以上の企業や4000以上の病院をすでに顧客として囲い込んでいます。さらに会員数は5000万人を超えるプラットフォームになっています。
よっぽどテラドック・ヘルスのサービスに劣らず、かつ低価格であっても、今のテラドック・ヘルスの市場シェアを覆すには相当な時間とコストを要します。
以上より、テラドック・ヘルスの競争優位性は高いと言っていいでしょう。
不可逆的なトレンドに支えられているか?
アメリカの人口はこれからも増えていく
日本に住んでいるとイメージしづらいですが、アメリカの人口はこれからも増えていくと予想されています。
病人の数も増えていく
また、病人の数も増えていくことが予想されます。
例えば、国際糖尿病連合(IDF)の資料によると、世界の糖尿病患者数が爆増すると予想されています。北アメリカだけでも、2019年から2045年にかけて33%も増加するそうです。
病人が増えるということは、今後はより一層、医療サービスの消費額も高くなるということです。
以上の理由から、テラドック・ヘルスが属するヘルスケア業界は、長期トレンドによっても下支えされていると考えています。
果たして、この分析が当たっているのかどうか。
10年後に答え合わせをしましょう。